月: 2022年1月

  • ISO9001 2015 10.3 継続的改善がわかる

    ISO9001 2015 10.3 継続的改善がわかる

    QCプラネッツのISO9001 2015関連ブログを多くの方に読んでいただき、とてもうれしいです。ブログの内容をさらにパワーアップして更新しました。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 10.3 継続的改善がわかる
    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②継続的改善とは「ちょっとずつ改善し続ける事」
    • ③わかりやすい継続的改善の例
    • ④業務の継続的改善方法

    ①ISO9001要求事項、JISハンドブックの解説

    ISO9001 2015の要求事項、JISのハンドブックを読みましょう。

    ISO9001要求事項

    10.3 継続的改善
    組織は,品質マネジメントシステムの適切性,妥当性及び有効性継続的に改善しなければならない。 組織は,継続的改善の一環として取り組まなければならない必要性又は機会があるかどうかを明確にするために,分析及び評価の結果並びにマネジメントレビューからのアウトプットを検討しなければならない。

    確かにその通りなのですが、難しい書き方をしています。
    継続的改善を自分のものにするために理解するポイントを伝授します!

    ●気にすべき内容は、次の2点です。

    1. 「継続的に改善」を自分なりの解釈を見つけること
    2. 継続的改善の目的や意義を意識して考えること

    JISハンドブックの解説

    JISハンドブックも見ていきましょう。継続的改善について説明した箇所がいくつかあります。一緒に見てみましょう。

    1. JIS Q9001品質マネジメントシステム-要求事項
    2. JIS Q9002 品質マネジメントシステム-JIS Q 9001の適用に関する指針
    3. JIS Q9004 品質マネジメント-組織の品質-持続的成功を達成するための指針
    4. JIS Q9024 マネジメントシステムのパフォーマンス改善 継続的改善の手順及び技法の指針

    それぞれを読んだ印象をまとめます。

    JIS 名称 単元 感想
    JIS Q9001 品質マネジメントシステム
    -要求事項
    10.3 継続的改善 ISO9001 2015 10.3
    と同じ内容
    JIS Q9002 品質マネジメントシステム
    -JIS Q 9001の適用に関する指針
    10.3 継続的改善 JIS Q9001 10.3の補足
    改善の方法を列挙。
    JIS Q9004 品質マネジメント-組織の品質
    -持続的成功を達成するための指針
    11改善 改善だけでなく、学習・革新と範囲を広げた解説
    JIS Q9024 マネジメントシステムの
    パフォーマンス改善
    継続的改善の手順及び技法の指針
    全部 改善方法・効果方法を解説。

    以上から、

    JISの内容は一読しよう!
    あなた自身、あなたをとりまく環境・組織が抱える課題を見つけ、
    どのように解決、改善していくかを自分なりに考えよう!
    改善施策をした後、要求事項を読み返すと、理解度が増しますね。
    不適合事象があり、今すぐ改善すべきことがあればそれほど悩むものではないが、成熟しておりこれ以上何をやったか良いかわからない状況で改善策を考える苦悩もある。

    スタートアップの段階では、日々改善要求がありますが、
    成熟した環境では改善施策が思いつかず、悩むことがあり、結局何も成長しない自分がいたりします。

    ここから、「継続的」に「改善」することを自分なりに解釈して理解する方法を解説します。

    ②継続的改善とは「ちょっとずつ改善し続ける事」

    品質管理はそもそも、シンプルで簡単です。なぜなら、目標達成させる手段だからです。でも、その品質管理を抽象化すると難しくなります。

    ●簡単に継続的改善がわかる解説をします。

    継続的改善は
    ①ちょっとずつ
    ②改善を
    ③継続すること

    これが一番理解しやすい解説と考えます。

    なぜ、ちょっとずつなのか?

    ①ちょっとずつが最重要です。その理由は

    1. 急な改善しても、ストレスや嫌な印象しかなく、継続できない。
    2. 急な改善しても、その改善がストップしたら、元の状態やむしろ改善前より悪い状況まで落ち込むリスクがある。
    3. 組織全員では急な改善活動は無理。

    いきなり、大きな目標を立てて改善すると無理が生じます。そんなしんどい改善はしたくありませんし、改善の監視が終わると、二度とやらない!となり、逆効果すらなります。

    ですからちょっとずつ負荷をかけて、負荷がかかっても問題なければ、もう少し負荷をかけていく感じで行くのが良いです。

    負荷をかけてもしんどくない状態、それが当たり前の状態になれば、過去から改善できた状態ができたことになります。これを長期的に続けるのが、継続的改善のポイントです。

    継続的改善

    継続的改善は
    手を伸ばせば何とか届くところを日々頑張るように組織を導くこと。
    手を伸ばせば届くので、不可能ではないが、しんどい。
    ちょっとしんどいから成長する。
    それを継続することが大事です。
    でも、しんどいね。。。
    継続的改善は
    皆しんどい。
    だからやり切った者が勝つ!

    勝負、受験も似たようなものです。

    継続的改善を促す品質管理技術者は
    組織メンバーのお手本となるよう、
    自ら率先してしんどい道に進むべき。
    ・・・
    でも、それができる品質管理技術者は少ない。しんどいから。

    自分に甘いのはわかります。辛かったらQCプラネッツに問い合わせしてください。一緒に頑張りましょう! 応援します!

    ③わかりやすい継続的改善の例

    継続的改善をわかりやすく解説しました。私生活にも継続的改善例があります。

    1. ダイエット1年で15kg減量
    2. 難しい資格試験合格
    3. 組織改革(品質改善、コスト削減成功)
    4. などなど(皆さんもご自身の事例を挙げましょう)

    どれも、すぐに目標達成したものばかりですが、時間をかけた方が、元の状態に戻ることはありませんよね。

    ダイエットの例で解説しましょう。私も1年で15kgを落とした経験があり、それから10年経過しますが、いまだにもとの肥満状態に戻らず体重を維持しています。

    継続的改善 ~ダイエットの例)

    よく広告で見かけませんか?

    3か月で10kg減量

    結構キツイし、そのストレスでリバウンドする人も多いです。

    ダイエットは大変です。それは、1kg落とすのに9,000kcal(脂肪1g 9kcalで計算)と落とす必要があるからです。

    1ヶ月で1kg落とすだけでも大変!でも「たった1kgかあ」と落胆しますよね。

    でも、-1kg=-9,000kgで 1ヶ月で達成するには1日-300kcalが必須です。これは、1食のうち半分減らし、運動習慣をつけないと継続できません。

    「無理」とするか、「ちょっとおかず減らして、ちょっと運動すればいいんでしょう!」となるかが、
    継続的改善の第一歩ですね。

    ポイントは,

    1. ちょっとしんどいけど、できそうな目標から始める
    2. しんどいけど、1ヶ月は続ける
    3. 徐々に、ダイエットの習慣を身に着ける
    4. 継続できる自分をほめる!
    5. しんどくないなら、もう少しダイエット対策を増やす
    6. すぐに結果を求めず、半年、1年くらい続ける

    私は、これで1年で15kg落ちていきました。食事、運動、生活習慣を少しずつ変えていけば、時間はかかりますが、目標達成できます。

    ④業務の継続的改善方法

    ここまで読めば、部門、組織、業務での継続的改善は何をしたらよいかが見えてくるはずです。

    私が、よく組織に依頼・サポートしている内容をまとめます。

    1. 目指したい高い目標は何か?
    2. 現状と目標の差(ギャップ)を明確化する
    3. ギャップを埋める期間を数年の視野で見るよう指示する
    4. 今できる改善策を立ててもらう
    5. すぐには結果が出ないことを伝えつつ、良くなった効果を評価する
    6. 改善策が部門に浸透してきたら、次の改善策を指示する
    7. ライン部門と一緒に走る姿勢を品質管理部門が見せる
    8. サポートする自分も継続的改善する
    9. 継続的改善を頑張る相手をしっかりサポートする
    10. なあなあにして途中棄権がないよう、配慮する
    11. すぐには結果は出ない。結果が出ても褒めてもらえないことを知っておく
    12. 自分を信じ、皆を信じる
    13. とにかく、ちょっとずつでいいから続けるようエンパワーメントする

    ポイントは、

    継続的改善は
    ①ちょっとずつでいいから
    ②手を伸ばせば届く改善を
    ③継続すること

    これが継続的改善につながるのです。

    仕事でもプライベートでも使える
    継続的改善
    テクニックを是非手に入れてください。
    何でもできるようになりますね!

    まとめ

    ISO9001 2015 10.3 継続的改善をわかりやすく解説しました。

    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②継続的改善とは「ちょっとずつ改善し続ける事」
    • ③わかりやすい継続的改善の例
    • ④業務の継続的改善方法

  • 管理図の良書の紹介(QCプラネッツを読む方がベター)

    管理図の良書の紹介(QCプラネッツを読む方がベター)

    「管理図の良書が無い」、などと困っていませんか?

    こういう期待に答えます。

    本記事のテーマ

    管理図の良書を紹介するけどQCプラネッツを読む方がベター

    結論

    ●管理図の良書自体少ない。
    ●理論を詳しくまとめたものは古すぎる
    ●QCプラネッツの記事を読んだ方がベター
    理論が詳しい本ほど古いです。
    でも古いため、読んでで「なぜ?」と思う内容も多いです。
    なので、QCプラネッツが今、必要とされる管理図の使い方や理論をまとめました。
    一応、数少ない良書を紹介します。

    ●Youtube動画でも解説しています。ご確認ください。

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    ①良書のご紹介と解説

    良書一覧

    【1】管理図法―品質管理教程 (1962年) 【評価:◎】
    【評価理由】管理図の使い方、事例、理論が最も詳しい。1962年、1986年版があるが、理論多めの1962年の方がベター。

    【2】新編統計数値表 河出書房 1952 【評価:〇】
    【評価理由】R管理図のd2,d3の導出過程を最も詳しく書いている。しかし、それでも導出の途中経過がわからない。その他多くの統計の数理が紹介されている。

    【3】1回で合格!QC検定®2級テキスト&問題集【評価:〇】
    【評価理由】使い方は理解できる。入門書としては良い。

    【4】【新レベル表対応版】QC検定®受検テキスト1級 (品質管理検定集中講座[1])【評価:〇】
    【評価理由】群内、群間変動、工程異常ルールなど管理図全体を網羅している。試験対策には必須。でも理論はわからない。QC検定®1級で管理図を使った問題が一番苦労するはず。

    【5】管理図の作り方と活用 (新版QC入門講座) 日本規格協会【評価:△】
    【評価理由】使い方は理解できるが、理論がわからない。ほとんどの教科書が、管理図の使い方ばかり説明なので、理論・本質が理解できず悩ましいです。

    【6】管理図活用の基本と応用 管理図を見直そう 日本規格協会 1986【評価:△】
    【評価理由】使い方は理解できるが、理論がわからない。ほとんどの教科書が、管理図の使い方ばかり説明なので、理論・本質が理解できず悩ましいです。

    ●商標使用について、
    ①QC検定®と品質管理検定®は、一般財団法人日本規格協会の登録商標です。
    ➁このコンテンツは、一般財団法人日本規格協会の承認や推奨、その他の検討を受けたものではありません。
    ➂QCプラネッツは、QC検定®と品質管理検定®の商標使用許可を受けています。

    ②良書だけでは不十分

    関連記事、でまとめましたが、管理図の理論や本質が教科書では十分わかりません。次の問いは教科書に十分書いていません。

    1. 「管理図=シューハート管理図」と頭がセットされていませんか?
    2. 管理図係数表の値の導出はできますか?
    3. 管理図係数表の値はnが6以上でないと使えない理由は説明できますか?
    4. 管理図係数表が計量値管理図しかない理由は説明できますか?
    5. 管理図で、群内データnを∞にしたら管理図はどうなるか説明できますか?
    6. 分散公式\(σ_x^2\)=\(σ_w^2\)+\(σ_b^2\)と\(σ_\bar{x^2}\)=\(\frac{σ_w^2}{n}\)+\(σ_b^2\)は導出できますか?
    7. データを層別していったら、群内・群間変動は追って計算できますか?
    8. JISにある異常判定ルールはどのように決まっているか説明できますか?
    9. 第1種の誤り、第2種の誤りと管理図の管理限界との関係、検出力への影響が説明できますか?

    これらを研究することで、管理図の理論・本質が理解できるようになります。

    すべてQCプラネッツの記事に書いていますので、関連記事にて確認ください。

  • 【まとめ】簡単だけど難しい管理図を究める

    【まとめ】簡単だけど難しい管理図を究める

    「管理図は簡単!公式暗記で管理限界求めるだけ!でも、管理図の理論や本質は全く分からない」、などと困っていませんか?

    こういう期待に答えます。

    本記事のテーマ

    【まとめ】簡単だけど難しい管理図を究める
    • ①管理図を究めるのは難しい
    • ②管理図を究める道
    • ③管理図を究める関連記事の紹介

    ●Youtube動画でも解説しています。ご確認ください。

    [themoneytizer id=”105233-2″]

    ①管理図を究めるのは難しい

    管理図の本質を確認する問い

    管理図の理論は実はとても難しい

    【あなたに問います】管理図について次の問いが答えられますか?

    1. 「管理図=シューハート管理図」と頭がセットされていませんか?
    2. 管理図係数表の値の導出はできますか?
    3. 管理図係数表の値はnが6以上でないと使えない理由は説明できますか?
    4. 管理図係数表が計量値管理図しかない理由は説明できますか?
    5. 管理図で、群内データnを∞にしたら管理図はどうなるか説明できますか?
    6. 分散公式\(σ_x^2\)=\(σ_w^2\)+\(σ_b^2\)と\(σ_\bar{x^2}\)=\(\frac{σ_w^2}{n}\)+\(σ_b^2\)は導出できますか?
    7. データを層別していったら、群内・群間変動は追って計算できますか?
    8. JISにある異常判定ルールはどのように決まっているか説明できますか?
    9. 第1種の誤り、第2種の誤りと管理図の管理限界との関係、検出力への影響が説明できますか?
    10. 実験計画法、検定・推定、χ2乗分布などと管理図を組み合わせた応用事例が解けますか?
    11. 「X-Rs管理図」、「\(\bar{x_s}-Rs\)管理図」、「減点数の管理図」、「カイ2乗管理図」などの管理図は知っていますか?

    管理図の本質をまとめるQCプラネッツの熱い思い

    上の問いが答えられないのは、管理図の作り方だけしか勉強していない証拠です。管理図の理論や特性を知らずに、手法だけ解けても、意味はありません。
    QC検定®では、3級、2級は公式代入だけでOK
    1級は群内、群間分散まで出題してくる。
    でも、群内、群間分散の問題が良くないため、正解が導き出せにくいし、解説読んでも理解できない。
    つまり、ほとんどの人が管理図の本質を理解していないまま、管理図を使ったり、試験問題を出したりしているのではないか?古書も含めて日本中にあるすべての管理図に関する書物を読み直して、管理図の本質をまとめる必要がある!

    という思いで、管理図の本質にQCプラネッツが迫ります!

    ●商標使用について、
    ①QC検定®と品質管理検定®は、一般財団法人日本規格協会の登録商標です。
    ➁このコンテンツは、一般財団法人日本規格協会の承認や推奨、その他の検討を受けたものではありません。
    ➂QCプラネッツは、QC検定®と品質管理検定®の商標使用許可を受けています。

    ②管理図を究める道

    本記事を併せて28記事をまとめました。管理図の本質をここまで書いたサイトや教科書は、無いでしょう。なお、管理図の教科書には載っていない内容ばかり解説しています。必読!です。

    管理図の究め方

    次の8つに分類できます。上から読んでいけば本質に迫れるようにまとめています。また、各分類に属す関連記事を紹介します。

    1. 管理図の導入
    2. 管理図係数表を導出
    3. 群内・群間変動を分割
    4. 工程異常判定ルールを考える
    5. 検出力を管理図で考える
    6. 管理図以外の単元と組み合わせた応用事例
    7. 特殊な管理図
    8. 管理図に関する良書

    ③管理図を究める関連記事の紹介

    (1)管理図の導入

    ここでは、3記事を紹介します。

    ●管理図の種類を特定する頻出問題を紹介します。試験対策用です。これだけやれば大丈夫なレベルになります。

    【必読】管理図の種類を特定する36問
    各データをどんな管理図で管理すればよいか?答えられますか? 本記事では36問用意しました。十分な演習問題を解いて力をつけましょう。管理図をマスターしたい方は必見です。

    ●「管理図=シューハート管理図」と思い込んでいませんか?管理図は本来自分で考えるものです。試験勉強に染まると、シューハート管理図に突っ込んでいってしまいます。

    【注意】管理図はシューハートの管理図だけではない
    管理図を勉強すると、管理限界、UCL、LCL、管理図の種類、郡内変動と群間変動、σの推定値などを身に着けます。しかし、シューハート管理図ばかり教科書やQC検定®に取り上げられるため、自分で考える管理図を意識しようとしません。シューハート管理図のデメリットをよく知って、自分で管理図を設計できるようになりましょう。

    ●「管理図は使えない、役に立たない、使い道がない」と思ったときに、読んでください。管理図の使い方の注意点をまとめました。

    管理図は「使えない、役に立たない、使い道がない」と思ったら読むべき記事
    管理図は使えない、役に立たない、使い道がないと思っていませんか?そう思う原因とその対応策について解説しました。管理図の使い方や実務でうまく活用うるポイントをまとめました。管理図をマスターしたい方は必見です。

    (2)管理図係数表を導出

    ここでは、7記事を紹介します。そろそろ表や数値を使うだけの勉強は卒業しましょう。数値や式は導出して理解するのが最も重要ですよ。

    ●計量値管理図の係数値の変数の導出をまとめました。変な式が多く、導出が困難な印象を受けますね。

    【重要】管理図(計量値)の変数の導出がわかる
    シューハートの管理図の計量値の各係数表の求め方を解説します。A,B,D,d2とかいっぱい変数がありますが、すべて期待値±倍数×標準偏差で表記できます。シューハートの管理図をマスターしたい方は必見です。

    ●計数値管理図の係数表一覧を作りました。JISのハンドブックまで戻らなくてもすぐ見えるようにしました。

    【試験対策】シューハート管理図の管理線公式と係数表を確認する
    シューハートの管理図の中心・管理限界公式と、係数表をまとめました。大学の試験やQC検定®対策に活用ください。1つの表で全パターンを見やすくまとめました。

    ●s管理図の係数c4と管理限界の導出を解説します。χ2乗分布、平方和、正規分布の関係から完璧に導出できます。

    【必読】s管理図の変数c4と管理限界の導出がわかる
    s管理図の管理限界を求めるc4と管理限界値の導出を解説します。χ2乗分布、平方和、標準偏差の関係式を使って、意外と簡単に係数c4が導出できます。さらに、標準偏差と不偏標準偏差によって、若干式が異なる点も詳しく解説します。管理図をマスターしたい方は必見です。

    ●R管理図の係数d2,d3の導出を解説します。これは、完璧な導出ができなかったのですが、わかったところまで解説します。こんな難解すぎて正しいかどうかわからない係数は使いたくないですね。また、範囲R自体が「絶対値」という不自然な値だから導出が難しいのです。

    【必読】R管理図の変数d2,d3の導出が(半分)わかる
    R管理図の係数d2,d3はどうやって求めるか説明できますか?本記事では、範囲Rの確率密度関数を順序統計量の同時分布を使って導出し、途中までですが、d2,d3の導出方法を解説します。管理図をマスターしたい方は必見です。

    ●「管理図係数値はnが6以上でないと使えない」を暗記ではなく、理由が説明できるようになってください。係数が負だからです。計算して確認したら、説明できるようになるはずです。

    管理図係数値でnが6以上でないと使えない係数がある理由がわかる
    計量値管理図の管理限界を求める係数で「-」となるものがあります。この理由が説明できますか? 本記事では「-」となる理由を解説します。管理図をマスターする上で必読な記事です。

    ●管理図の群内データ数nを∞に持って行ったら管理図はどうなるか?考えてみましょう。nの極限値をみることで、nと係数値の関係が妥当なのか?チェックできるからです。

    管理図の各係数値の極限値(n⇒∞)がわかる
    管理図の各係数値の極限値(n⇒∞)がいくらになるかわかりますか? 本記事では、管理図の係数値のnによる変化を理解して、扱う管理図の特性を理解できるように解説しています。管理図をマスターしたい方は必見です。

    ●計量値管理図は2種類、計数値管理図は1種類管理図があります。種類が違い理由は説明できますか?計数値管理図にR管理図やs管理図が必要なケースを考えてみてください。いい勉強になります。

    【本記事限定】計数値データにR管理図やs管理図が必要な場合がある
    管理図では、計量値データは2種類の管理図、計数値データは1種類の管理図と教科書ではよく書いていますが、本当でしょうか?本記事では、計数値データでも2種類の管理図が必要な場合を解説します。教科書丸暗記せず自分で考える習慣が重要です。

    (3)群内・群間変動を分割

    ここでは、2記事を紹介します。

    ●群内変動、群間変動の分割公式を導出します。公式暗記せず、導出が理解を早めます。

    【必読】管理図の分散σ(x)とσ(xbar)の違いがわかる(群内変動と群間変動)
    管理図において、群内変動と群間変動の分散の導出方法がわかりますか? 本記事では、Xbarの分散公式とXの分散公式の違いや、公式の導出方法を平方和、実験計画法を活用して導出します。単なる公式の丸暗記に頼らず自力導出できることが重要です。

    ●QC検定®1級対策用です。1級の群内変動、群間変動の分割問題は良問ではありませんが、試験合格が目的なので、それに対応した演習問題を紹介します。

    【必読】計量値管理図の群内変動と群間変動の分散が推定できる
    R管理図から群内変動と群間変動の分散が推定できますか?本記事では、群内変動と群間変動の分散を導出する方法を詳細に解説します。管理図をマスターしたい方、QC検定®1級合格したい方は必見です。

    (4)工程異常判定ルールを考える

    ここでは、2記事を紹介します。連、傾向など8つの異常判定ルールがJISにあります。しかし、なぜ、それらが異常と言えるのか?理由を説明できますか?本来は、工程管理対象の特徴に合わせて異常判定を設定すべきです。

    ●異常ルールはJISに頼る前に、自分で考える必要があります。異常判定条件の考え方をまとめました。

    【重要】管理図の異常判定ルールは自分で設計すべき(JISに頼るな!)
    管理図の異常判定ルールは8種類ありますが、各々のルールである理由を説明できますか?本記事では、JISでも、自力でも異常判定ルールを考えるヒントを解説します。管理図をマスターしたい方は必見です。

    ●「工程が管理状態であり、σ=0」とよく教科書に書いています。この状態を管理図で表現するとどうなるか?を解説しました。理想的な管理状態を管理図で見ておくことは重要です。

    管理図で「工程が管理状態である」がわかる
    管理図にて、「工程が管理状態である」とはどんな図になるのか?説明できますか? 本記事では、暗記に頼らず、データの分散から管理状態を想定したデータを考え、そのデータの管理図を作成する流れを解説します。管理図をマスターしたい方は必見です。

    (5)検出力を管理図で考える

    ここでは、2記事を紹介します。管理限界は基本的には正規分布の±3σの点です。ここから第1種の誤り、第2種の誤り、検出力を確認することができます。

    ●管理図で第1種の誤りと第2種の誤り、検出力の関係と求め方を解説します。

    【必読】管理図の第1種の誤りと第2種の誤り(検出力)がわかる
    管理図において、第1種の誤り、第2種の誤り、検出力の関係について説明できますか?本記事では、管理図から、第1種の誤り、第2種の誤り、検出力を求める方法を詳細に解説します。管理図をマスターしたい方は必見です。

    ●工程変化と検出力の関係をOC曲線で表現することができます。抜取検査の主役であるOC曲線が管理図でも出て来ます!

    工程変化と検出力の関係をOC曲線で表現できる
    管理図の管理限界と工程管理の検出力の関係が説明できますか?本記事では正規分布を活用して、工程管理の変化による検出力の影響を解説します。管理図とOC曲線と正規分布を使った応用事例です。管理図をマスターしたい方は必見です。

    (6)管理図以外の単元と組み合わせた応用事例

    ここでは、6記事を紹介します。

    ●R管理図で範囲Rの平均差の検定できることを解説します。平均差の検定はt分布を使いますが、正規分布でも検定ができることも解説します。

    R管理図で範囲Rの平均差の検定ができる
    R管理図を用いて、母平均差の検定について解説します。t分布を使った検定方法と、古書にあるF検定を使った検定方法を解説します。管理図、検定・推定を組み合わせた応用事例です。管理図も検定・推定もマスターしたい方は必見です。

    ●u管理図の欠点数の差の検定を解説します。正規分布、管理図、検定・推定を組み合わせた応用事例を解説します。

    u管理図の欠点数の差の検定ができる
    u管理図を用いて、欠点数の差の検定について解説します。正規分布を使った検定方法を解説します。管理図、検定・推定を組み合わせた応用事例です。管理図も検定・推定もマスターしたい方は必見です。

    ●管理図の平均値Xbarの差の検定を解説します。差の検定はt分布を使いますが、正規分布でも使えることを解説します。

    管理図の平均値Xbarの差の検定ができる
    Xbar管理図を用いて、母平均差の検定について解説します。t分布を使った検定方法と、古書にある正規分布と管理図係数を使った検定方法を解説します。管理図、検定・推定を組み合わせた応用事例です。管理図も検定・推定もマスターしたい方は必見です。

    ●2つのデータを組み合わせた場合の管理図を考えます。分散の加法性と管理限界の関係性を解説します。

    2つのデータを管理図にするときの注意点(分散の加法性と検出力のバランス)
    2つのデータを和、差して合成したデータを管理図に入れるとき、何に注意すればよいか説明できますか? 本記事では、確率分布に従うデータの合成後の管理図の作り方について解説します。管理限界と3σの関係、データ合成後の検出力の影響などがわかります。管理図をマスターしたい方は必見です。

    ●p管理図から不良率の差を検定します。管理図、正規分布、χ2乗分布を組み合わせた応用事例を解説します。

    p管理図の不良率の差の検定ができる
    p管理図を用いて、不良率の差の検定について解説します。正規分布を使った検定方法と、χ2乗分布を使った検定方法を解説します。管理図、検定・推定を組み合わせた応用事例です。管理図も検定・推定もマスターしたい方は必見です。

    ●工程管理を改善すると管理図のグラフは変化します。それ同時に、各因子・効果の変動がどの程度変化するかを実験計画法・分散分析を使って数値化します。管理図と実験計画法を使った応用事例を解説します。

    【必読】管理図と実験計画法を使ってばらつき低減効果を確認する
    データのばらつき低減効果と管理図の変化について解説します。管理図と実験計画法(三元配置実験)を使った応用問題として本記事を読むと理解が深まります。管理図と実験計画法をマスターしたい方は必見です。

    ここまで読めば、かなり管理図の応用力がつきますね。

    (7)特殊な管理図

    ここでは、4記事を紹介します。

    ●X-Rs管理図を解説します。QC検定®1級では、過去に1回だけ出題されるくらいのレアですが、データが1つしかない場合の範囲Rをどう計算するかが注目ポイントです。

    【必読】X-Rs管理図が作れる
    シューハートの管理図の計量値の各係数表の求め方を解説します。A,B,D,d2とかいっぱい変数がありますが、すべ

    ●移動平均と移動範囲の管理図を解説します。レアな管理図ですが、QCプラネッツはここまで広く深く解説します!

    移動平均と移動範囲の管理図(xs-Rs管理図)がわかる
    移動平均と移動範囲の管理図を解説します。特殊な管理図ですが、Xbar-R管理図との違い、xs-Rs管理図の描き方を解説します。管理図をマスターしたい方は必見です。

    ●減点数の管理図の作り方を解説します。p管理図やnp管理図のように「不良」、「良」の2択ではなく、3択以上の複数の選択がある場合に活用する管理図です。レアな管理図ですが、QCプラネッツはここまで広く深く解説します!

    減点数の管理図の作り方がわかる(ポアソン分布、分散の加法性)
    欠点数を管理する場合、複数の区分で評価することが多いです。その場合、ポアソン分布と、分散の加法性を使いながら、管理図を作る方法を解説します。管理図をマスターしたい方は必見です。

    ●「χ2乗管理図」って聞いたことがありますか?あるんです!np管理図やp管理図のように、「不良」、「良」の2択ではなく、3つ以上の選択がある場合、まとめて工程管理図を作る場合に考えたのがカイ2乗管理図です。レアな管理図ですが、QCプラネッツはここまで広く深く解説します!

    カイ2乗管理図がわかる
    カイ2乗管理図があるのをご存じですか?pn管理図やp管理図のように、「不良」、「良」の2択ではなく、3つ以上の選択がある場合、まとめて工程管理図を作る場合に考えらたのがカイ2乗管理図です。管理図をマスターしたい方は必見です。

    (8)管理図に関する良書

    良書を紹介します。

    管理図の良書の紹介(QCプラネッツを読む方がベター)
    管理図に関する良書を紹介します。ですが、良書が少ない、少なぎる。近年の教科書は管理図の描き方しか解説しておらず、係数の値の導出、群内・群間分散の導出などを詳しく解説した書物がありません。そこで、QCプラネッツでは、管理図の理論や本質をしっかり解説しています。

    以上、(1)~(8)の計27記事を紹介しました。これを全部理解すれば、日本で最も管理図が詳しいレベルにすぐ到達できます。必読です!公式暗記で済ませる管理図からさよならしてください。

    まとめ

    管理図の究め方について解説しました。

    • ①管理図を究めるのは難しい
    • ②管理図を究める道
    • ③管理図を究める関連記事の紹介

  • カイ2乗管理図がわかる

    カイ2乗管理図がわかる

    「カイ2乗管理図って何?」と困っていませんか? マニアックすぎて困ってない? でもあるんです!紹介しますね。

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    カイ2乗管理図がわかる
    カイ2乗管理図なんて聞いたことが無い!

    と思いますが、あることはあります。折角なので解説します!必見ですよ!

    • ①カイ2乗管理図とは
    • ②カイ2乗管理図の描き方
    • ③カイ2乗管理図のメリット、デメリット

    記事の信頼性

    記事を書いている私は、管理図の係数表、群内変動・群間変動の解き方に疑問が残りました。そこで、管理図の理論を研究しました。その成果をブログで解説します。

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    ①カイ2乗管理図とは

    カイ2乗管理図がなぜ必要?

    元々はp管理図やnp管理図で不良品、良品を管理しますが、「良か不良か」の2択しかありません。

    中には、2択以上の複数選択をした管理図を作りたいニーズもあるでしょう。これをかなえるために作られたのが、カイ2乗管理図です。

    カイ2乗管理図の数理

    いろいろ疑問に思うでしょう。1つずつ解説します。

    疑問1:カイ2乗の式使うの?
    疑問2:中心、管理限界のCL,LCL,UCLはどう決めるの?

    カイ2乗の式使うの?

    適合性の検定のようにカイ2乗式を使います。

    次の式を使います。
    ●\(χ^2\)=\(\sum \frac{(実測値―期待値)^2}{期待値}\)

    具体的に4つの階級がある場合は、
    ●\(χ^2\)=\(\frac{(r_A-\bar{r_A})^2}{\bar{r_A}}\)+\(\frac{(r_B-\bar{r_B})^2}{\bar{r_B}}\)
    +\(\frac{(r_C-\bar{r_C})^2}{\bar{r_C}}\)+\(\frac{(r_D-\bar{r_D})^2}{\bar{r_D}}\)
    となります。

    中心、管理限界のCL,LCL,UCLはどう決めるの?

    カイ2乗分布の
    ●0.5点がCL、
    ●1-0.0027点がLCL、
    ●0.0027点をUCL
    とします。
    0.0027は正規分布の3σの点です。

    χ2乗分布と確率について下図のとおりです。

    カイ2乗分布

    χ2乗分布表にて、自由度と確率点をみれば、χ2の値がわかります。
    ただし、0.0027点や、1-0.0027点はχ2乗分布表では読み取れません。

    Excelの関数を使って導出します。
    ●CHISQ.INV.RT(確率,自由度)で計算してくれます。
    確率が1-0.0027で自由度が3の場合は、
    ●CHISQ.INV.RT(1-0.0027, 3)=0.047
    となります。ほぼ0ですね。

    まとめると、

    カイ2乗分布の
    ●CL⇒Excel でCHISQ.INV.RT(0.5, 自由度)の値
    ●LCL⇒Excel でCHISQ.INV.RT(1-0.0027, 自由度)の値
    ●UCL⇒Excel でCHISQ.INV.RT(0.0027, 自由度)の値
    とします。
    0.0027は正規分布の3σの点です。

    ②カイ2乗管理図の描き方

    データの用意

    カイ2乗管理図と比較のためのpn管理図を作成します。

    データは次の表のとおりです。

    1級 2級 3級 χ2
    1 174 10 16 0.89
    2 173 8 19 0.5
    3 175 9 16 1.05
    4 170 14 16 2.4
    5 174 6 20 1.69
    6 173 6 21 1.7
    7 164 11 25 1.56
    8 169 13 18 1.11
    9 165 15 20 2.65
    10 163 8 29 4.74
    合計 1700 100 200 2000
    平均 170 10 20 200

    作る管理図

    ●4つの管理図を作ります。

    ●1級だけのnp管理図
    ●2級だけのnp管理図
    ●3級だけのnp管理図
    ●1級、2級、3級をまとめたカイ2乗管理図

    np管理図を作る

    ●1級だけのnp管理図
    ●2級だけのnp管理図
    ●3級だけのnp管理図

    ●必要な値をそれぞれ求めます。表にまとめます。

    1級 2級 3級
    平方和S 186 92 160
    分散V 20.67 10.22 17.78
    標準偏差s 4.54 3.2 4.21
    平均CL 170 10 20
    LCL 156.38 0.40 7.37
    UCL 183.62 19.6 32.63

    ●np管理図を描きましょう。

    np管理図(1級)

    np管理図

    np管理図(2級)

    np管理図

    np管理図(3級)

    np管理図

    カイ2乗管理図を作る

    ●1級、2級、3級をまとめたカイ2乗管理図

    必要な値を求める。

    ●必要な値をそれぞれ求めます。表にまとめます。

    まず、自由度は 1級、2級,3級の3つから1つ引いた、2です。
    自由度2のカイ2乗分布を考えます。

    ●次に、データから各群のχ2を計算します。
    例えば、群1の場合、
    データが、174,10,16で、
    それぞれの平均が170,10,20
    です。

    ●\(χ^2\)=\(\frac{(r_A-\bar{r_A})^2}{\bar{r_A}}\)+\(\frac{(r_B-\bar{r_B})^2}{\bar{r_B}}\)
    +\(\frac{(r_C-\bar{r_C})^2}{\bar{r_C}}\)
    =\(\frac{(174-170)^2}{170}\)+\(\frac{(10-10)^2}{10}\)+\(\frac{(16-20)^2}{20}\)
    =0.89
    となります。
    同様に群1から群10まで計算します。

    ●自由度2のχ2乗分布からLCL,CL,UCLを求めます。
    ◎LCL=CHISQ.INV.RT(1-0.0027,2)=0.0054
    ◎CL=CHISQ.INV.RT(0.5,2)=1.38
    ◎UCL=CHISQ.INV.RT(0.0027,2)=11.83
    となります。

    ●結果を下表にまとめます。

    χ2 LCL CL UCL
    1 0.89 0.01 1.39 11.83
    2 0.5 0.01 1.39 11.83
    3 1.05 0.01 1.39 11.83
    4 2.4 0.01 1.39 11.83
    5 1.69 0.01 1.39 11.83
    6 1.7 0.01 1.39 11.83
    7 1.56 0.01 1.39 11.83
    8 1.11 0.01 1.39 11.83
    9 2.65 0.01 1.39 11.83
    10 4.74 0.01 1.39 11.83

    ●カイ2乗管理図を描きましょう。

    カイ2乗管理図

    np管理図とカイ2乗管理図を比較してどちらも工程異常はないことがわかりました。np管

    ③カイ2乗管理図のメリット、デメリット

    カイ2乗管理図のメリット

    複合条件をまとめたデータで管理図が作れること。

    くらいでしょうか?

    カイ2乗管理図のデメリット

    (i)カイ2乗管理図のLCL,CL,UCLの定義の妥当性が怪しい。つまり、
    ●CL⇒Excel でCHISQ.INV.RT(0.5, 自由度)の値
    ●LCL⇒Excel でCHISQ.INV.RT(1-0.0027, 自由度)の値
    ●UCL⇒Excel でCHISQ.INV.RT(0.0027, 自由度)の値
    は妥当なのか?よく吟味する必要があります。
    (ii)個別に作ったnp管理図で十分となると、カイ2乗管理図の出番はなさそう。

    以上から、デメリットの方が多いため、有名にならないマニアックな管理図になってしまったかもしれません。

    カイ2乗管理図からχ2乗分布、適合性の検定、pn管理図を複合した応用事例として勉強できたので、カイ2乗管理図を学ぶ価値はあります!

    まとめ

    カイ2乗管理図について、解説しました。

    • ①カイ2乗管理図とは
    • ②カイ2乗管理図の描き方
    • ③カイ2乗管理図のメリット、デメリット

  • 移動平均と移動範囲の管理図(xs-Rs管理図)がわかる

    移動平均と移動範囲の管理図(xs-Rs管理図)がわかる

    「移動平均と移動範囲の管理図って何?」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    移動平均と移動範囲の管理図(\(\bar{x_s}-R_s\)管理図)がわかる
    • ①移動平均と移動範囲のデータのとり方
    • ②移動平均と移動範囲の管理図(\(\bar{x_s}- R_s\)管理図)の描き方
    • ③\(\bar{x_s}- R_s\)管理図のメリット、デメリット

    記事の信頼性

    記事を書いている私は、管理図の係数表、群内変動・群間変動の解き方に疑問が残りました。そこで、管理図の理論を研究しました。その成果をブログで解説します。

    移動平均と移動範囲の管理図(\(\bar{x_s}-R_s\)管理図)は相当マニアックですが、こんな管理図も考え出されているので、知っておいて損はありません。
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    ①移動平均と移動範囲のデータのとり方

    基本は、平均と範囲なので、代表的な\(\bar{X}\)-R管理図さえあればOK。それの特別版な管理図である\(\bar{x_s}-R_s\)管理図をお楽しみください。

    平均移動とは?平均範囲とは?

    ●平均移動⇒次々と出て来るデータを、ある個数n個ずつ順にずらして群分けした場合の平均値
    ●平均範囲⇒次々と出て来るデータを、ある個数n個ずつ順にずらして群分けした場合の範囲

    言葉にすると非常にわかりにくいので下表で説明します。

    ●まず、データを用意します。Noごとに1つのデータxを測定します。

    No データx
    1 15
    2 20
    3 24
    4 23
    5 15
    6 18
    7 11
    8 12
    9 19
    10 14

    ●次に、群分けの方法ですが、
    次々と出て来るデータを、ある個数n個ずつ順にずらして群分けとあります。
    n=3とすると、
    ●3個ずつ順にずらすので、
    (i)1群目:1個目、2個目、3個目のデータ
    (ii)2群目:2個目、3個目、4個目のデータ
    (iii)3群目:3個目、4個目、5個目のデータ

    と区分けしていくことです。

    すると、次の表に変形できますね。

    No データx 群分け(n=3)
    1 15 1
    2 20 1 2
    3 24 1 2 3
    4 23 2 3
    5 15 3
    6 18
    7 11
    8 12 8
    9 19 8
    10 14 8

    移動平均と移動範囲のデータのとり方

    データを群内、群間の2軸にまとめ直します

    データx
    1 15 20 24
    2 20 24 23
    3 24 23 15
    8 12 19 14

    上表の横方向のデータの作り方が、\(\bar{X}\)-R管理図と異なります。

    ②移動平均と移動範囲の管理図(\(\bar{x_s}-R_s\))理図)の描き方

    \(\bar{x_s}-R_s\)管理図の注意点

    \(\bar{x_s}-R_s\)管理図自体は、\(\bar{X}\)-R管理図と同じ描き方です。

    管理限界は
    ●\(\bar{x_s}\)管理図: \(\bar{\bar{x}}±A_2 \bar{R_s}\)
    (\(\bar{\bar{x}}\)は群分けする前の全データの平均。重複するデータは無い点に注意)
    ●\(R_s\)管理図: \(D_3 \bar{R_s}\),\(D_4 \bar{R_s}\)
    と\(\bar{X}\)-R管理図と同じ

    \(\bar{x_s}-R_s\)管理図の描き方

    元のデータを再掲します。

    データx
    1 15 20 24
    2 20 24 23
    3 24 23 15
    8 12 19 14

    この表に、\(\bar{x_s}\)、\(\bar{\bar{x}}\)、\(R_s\)を追加します。

    データx \(\bar{x_s}\) \(\bar{\bar{x}}\) \(R_s\)
    1 15 20 24 19.67 17.1 9
    2 20 24 23 22.33 17.1 4
    3 24 23 15 20.67 17.1 9
    4 23 15 18 18.67 17.1 8
    5 15 18 11 14.67 17.1 7
    6 18 11 12 13.67 17.1 7
    7 11 12 19 14 17.1 8
    8 12 19 14 15 17.1 7

    ここで、\(\bar{x_s}\)、\(\bar{\bar{x}}\)、\(R_s\)の計算方法を解説します。
    ●第1群の\(\bar{x_s}\)=(15+20+24)/3=19.67
    (他の群も同様に計算)
    ●\(\bar{\bar{x}}\)=(15+20+24+23+15+18+11+12+19+14)/10=17.1
    (群分けしない。データが重複しないため)
    ●第1群の\(R_s\)=(24-15)=9
    (他の群も同様に計算)
    また、
    ●\(\bar{R_s}\)=全群の\(R_s\)の平均
    =7.375

    \(\bar{x_s}\)管理図

    ●管理限界、LCL,UCLを計算します。
    ◎LCL=\(\bar{\bar{x}}-A_2 \bar{R_s}\)
    =17.1-1.023×7.375
    =9.56
    ◎UCL=\(\bar{\bar{x}}+A_2 \bar{R_s}\)
    =17.1+1.023×7.375
    =24.64

    \(\bar{x_s}\)管理図のデータを下表にまとめます。

    \(\bar{x_s}\) \(\bar{\bar{x}}\) LCL UCL
    1 19.67 17.1 9.56 24.64
    2 22.33 17.1 9.56 24.64
    3 20.67 17.1 9.56 24.64
    4 18.67 17.1 9.56 24.64
    5 14.67 17.1 9.56 24.64
    6 13.67 17.1 9.56 24.64
    7 14 17.1 9.56 24.64
    8 15 17.1 9.56 24.64

    グラフは下図になります。

    xs管理図

    \(R_s\)管理図

    ●管理限界、LCL,UCLを計算します。
    ◎LCL=無しというか0
    ◎UCL=\(D_4 \bar{R_s}\)
    =2.575×7.375
    =18.99

    \(\bar{x_s}管理図のデータを下表にまとめます。

    Rs \(\bar{R_s}\) LCL UCL
    1 9 7.375 0 18.99
    2 4 7.375 0 18.99
    3 9 7.375 0 18.99
    4 8 7.375 0 18.99
    5 7 7.375 0 18.99
    6 7 7.375 0 18.99
    7 8 7.375 0 18.99
    8 7 7.375 0 18.99

    グラフは下図になります。

    Rs管理図

    管理図が完成しましたね。

    ③\(\bar{x_s}- R_s\)管理図のメリット、デメリット

    \(\bar{x_s}- R_s\)管理図のメリット

    どんなメリットがあるでしょうか?

    ●1回に1つしか出ないデータをX-R管理図のように表現できる。
    でもX管理図だけ描けばいいじゃんと突っ込まれるとその通り。
    ●横軸の区切る期間を工程、機械、材料の違いによって区切り方を分けてその平均の動きが見える。

    \(\bar{x_s}- R_s\)管理図のデメリット

    どんなデメリットがあるでしょうか?

    ●群内、群間分けができない。同じデータが他の群に重複するから。

    まとめると、私の感触では、\(\bar{X}\)-R管理図ほど便利なものではない気がします。でも、こういう管理図も考えられることを知っておいてください。

    まとめ

    移動平均と移動範囲の管理図\(\bar{x_s}- R_s\)について、解説しました。

    • ①移動平均と移動範囲のデータのとり方
    • ②移動平均と移動範囲の管理図(\(\bar{x_s}- R_s\)管理図)の描き方
    • ③\(\bar{x_s}- R_s\)管理図のメリット、デメリット

  • 減点数の管理図の作り方がわかる(ポアソン分布、分散の加法性)

    減点数の管理図の作り方がわかる(ポアソン分布、分散の加法性)

    「複数に区分された欠点数を評価する管理図が作れない」、などと困っていませんか?

    こういう期待に答えます。

    本記事のテーマ

    複数に区分された欠点数を評価する管理図が作れる(ポアソン分布と分散の加法性の応用事例)
    • ①複数に区分された欠点数を評価したい場合
    • ②ポアソン分布と分散の加法性
    • ③複数に区分された欠点数を評価する管理図の作り方
    管理図とポアソン分布と分散の加法性をまぜた応用事例を解説します。
    教科書やサイトの内容をそのまま暗記せず、自分で考えてみよう。疑問がわけば、新発見につながる!

    記事の信頼性

    記事を書いている私は、管理図の係数表、群内変動・群間変動の解き方に疑問が残りました。そこで、管理図の理論を研究しました。その成果をブログで解説します。

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    複数に区分された欠点数を評価したい場合

    減点数のデータ

    品質特性を調べるときに、「外観の傷などの欠点数」や「組立上の欠点」などを調べます。欠点の状態によって、いくつかの階級に分けて評価したい場合を考えます。

    階級分けして評価する例

    たとえば、

    1. 致命的欠点(使用不可、ユーザに悪影響)
    2. 重欠点(特性に欠陥があるが、修理可能)
    3. 軽欠点(動作に問題ないが、気になる程度)
    4. 微欠点(誤差範囲で問題無いレベル)

    難しいですね。関西弁で書くと、

    1. 絶対アカン!
    2. ヤバい!
    3. ちょっと気になるけど!
    4. それくらい勘弁してよ!

    などの、程度によって分けて評価することを考えます。基本的には、点数分けして区別するでしょう。

    階級 点数
    致命的欠点 100
    重欠点 50
    軽欠点 10
    微欠点 2

    ●合格点は70点以下とかにして、ある製品の欠点数が
    ◎致命的欠点は0つ
    ◎重欠点は1つ
    ◎軽欠点は1つ
    ◎微欠点は3つ
    あった場合、評価点数は、
    100×0+50×1+10×1+2×3=66点と70点以下のなので、出荷OKとするとか評価できますね。

    では、階級別に点数化された評価点を管理図で管理することを考えます。

    ポアソン分布と分散の加法性

    欠点数はポアソン分布を活用

    管理図は、3種類ありますね。

    変数 確率分布 管理図
    計量値 正規分布 X,R,s
    計数値 二項分布 np,p
    計数値 ポアソン分布 c,u

    本記事は、欠点数を扱うので、ポアソン分布をベースに考えます。

    階級別の欠点数はポアソン分布と分散の加法性を活用

    仮定条件を設定

    ●1つの製品に、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳの4種の欠点の階級を考え、それぞれの階級にある欠点数はそれぞれ別々に以下のポアソン分布に従うと仮定します。

    階級 評価点(A) 欠点数(B) 平均(C) 点数合計(A×B)

    (致命的欠点)
    \(p_1\)
    (例:100)点
    \(d_1\)
    (例:1個)
    \(m_1\) \(p_1 d_1\)
    (例:100×1=100点)

    (重欠点)
    \(p_2\)
    (例:50)点
    \(d_2\)
    (例:3個)
    \(m_2\) \(p_2 d_2\)
    (例:50×3=150点)

    (軽欠点)
    \(p_3\)
    (例:10)点
    \(d_3\)
    (例:5個)
    \(m_3\) \(p_3 d_3\)
    (例:10×5=50点)

    (微欠点)
    \(p_4\)
    (例:2)点
    \(d_4\)
    (例:10個)
    \(m_4\) \(p_4 d_4\)
    (例:2×10=20点)
    合計 合計 \(p_1 d_1+…+p_4 d_4\)
    (例:320点)

    ●上表の場合の製品の欠点数qは、
    q=\(p_1 d_1\)+\(p_2 d_2\)+\(p_3 d_3\)+\(p_4 d_4\)
    で具体例でいうと、
    q=100×1+50×3+10×5+2×10=320
    ですね。

    欠点数合計の期待値、分散を導出

    ●欠点数合計qの期待値と分散を考えます。

    ●欠点数合計qの期待値\(μ_q\)=E[q]は、
    \(μ_q\)=E[q]
    = \(p_1\)E[\(d_1\)]+ \(p_2\)E[\(d_2\)]+ \(p_3\)E[\(d_3\)]+ \(p_4\)E[\(d_4\)]
    =\(p_1\)\(m_1\)+ \(p_2\)\(m_2\)+ \(p_3\)\(m_3\)+ \(p_4\)\(d_4\)
    になります。
    欠点数dが変数になるので、E[\(d_i\)]⇒\(m_i\)と変形します。

    ●欠点数合計qの分散\(σ_q^2\)=V[q]は、
    \(σ_q^2\)=V[q]
    = \(p_1^2\)V[\(d_1\)]+ \(p_2^2\)V[\(d_2\)]+ \(p_3^2\)V[\(d_3\)]+ \(p_4^2\)V[\(d_4\)]
    =\(p_1^2\)\(m_1\)+ \(p_2^2\)\(m_2\)+ \(p_3^2\)\(m_3\)+ \(p_4^2\)\(d_4\)
    になります。

    ●期待値Eと分散Vの定義は、
    E=\(\sum_{i} x_i f(x_i)\)
    V=\(\sum_{i} x_i^2 f(x_i)\)
    ですね。この定義どおり、立式するので、
    期待値Eは\(p_i\)V[\(d_i\)]の和、
    分散Vは\(p_i^2\)V[\(d_i\)]の和、
    となります。

    ●ポアソン分布の期待値と分散は一致しますね。
    つまり、平均が\(m_i\)なら、
    期待値E =\(m_i\)V
    分散V=\(m_i\)
    と一致します。

    欠点数合計の期待値、分散は、
    ●期待値E=\(p_1\)\(m_1\)+ \(p_2\)\(m_2\)+ \(p_3\)\(m_3\)+ \(p_4\)\(d_4\)
    ●分散V=\(p_1^2\)\(m_1\)+ \(p_2^2\)\(m_2\)+ \(p_3^2\)\(m_3\)+ \(p_4^2\)\(d_4\)
    です。

    減点数の管理図を作成

    データ事例

    次のデータを管理図に描きます。

    ある製品の1年間のデータをまとめると下表のとおりになった。検査サンプル数は20,000である。また、サンプル数n=500単位の規模の管理図を作成し、品質管理したい。
    欠点の階級 減点評価\(p_i\) 欠点数\(d_i\) 積\(p_i d_i\) 積\(p_i^2 d_i\)
    100 235 23,500 2,350,000
    50 2,585 129,250 6,462,500
    10 7,126 71,260 712,600
    2 13,602 27,204 54,408
    合計 23,548 251,214 9,579,508

    管理図と管理限界の計算

    1サンプルあたりの欠点数で評価します。c管理図を作成します。

    まず、平均と管理限界を計算します。

    欠点数合計の期待値、分散を導出

    ●期待値Eは
    E=\(\sum_{i=1}^{4} p_i d_i\)/N
    =251,214/20000=12.56

    ●分散Vは、サンプル数n=500を考慮して、
    V=\(\sum_{i=1}^{4} \frac{p_i^2 d_i}{N}\)/n
    =9,579,508/(20,000×500)=0.958
    ●標準偏差σは
    σ=\(\sqrt{V}\)=0.979

    管理図を作成

    まとめると、

    平均12.56、管理限界3×0.979に入るc管理図を作成。

    ここで1つ問題があります。⇒管理図がまだ描けない!

    今、管理図の縦軸である平均と管理限界が出ましたが、横軸データがまだありません。どんなデータを用意すればいいか?

    ●例えば、月ごとの欠点数データを横軸にとって、管理すればよいでしょう。

    次のような月ごとの欠点数データを取ります。

    月ごとの欠点数A
    (サンプル数n=500あたり)
    1 11
    2 14
    3 13.5
    4 11.5
    5 10.8
    6 12.5
    7 13.4
    8 15.4
    9 14.5
    10 11.5
    11 12.5
    12 14.1

    このデータと、期待値と標準偏差を使って管理限界を入れた管理図を作成します。

    c管理図

    ポアソン分布と分散の加法性を活用して管理図を作る応用事例になります。

    まとめ

    ポアソン分布と分散の加法性を活用して管理図を作る方法を解説しました。

    • ①複数に区分された欠点数を評価したい場合
    • ②ポアソン分布と分散の加法性
    • ③複数に区分された欠点数を評価する管理図の作り方

  • 2つのデータを管理図にするときの注意点(分散の加法性と検出力のバランス)

    2つのデータを管理図にするときの注意点(分散の加法性と検出力のバランス)

    「2つのデータを管理図にするとき、何に注意すればよいかわからない」、などと困っていませんか?

    こういう期待に答えます。

    本記事のテーマ

    2つのデータを管理図にするときの注意点
    • ①2つのデータの平均(期待値)と分散
    • ②分散の加法性と検出力のバランスに注意
    • ③計量値の管理図の注意点
    • ④計数値の管理図の注意点は無い
    管理図と分散の加法性、検出力をまぜた応用事例を解説します。
    教科書やサイトの内容をそのまま暗記せず、自分で考えてみよう。疑問がわけば、新発見につながる!

    記事の信頼性

    記事を書いている私は、管理図の係数表、群内変動・群間変動の解き方に疑問が残りました。そこで、管理図の理論を研究しました。その成果をブログで解説します。

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    ①2つのデータの平均(期待値)と分散

    2つのデータのそれぞれの平均(期待値)と分散

    2つデータを用意します。それぞれ正規分布に従うと仮定します。
    ●データA: 平均E[\(x_A\)]=\(μ_A\)、分散V[\(x_A\)]=\(σ_A^2\)
    ●データB: 平均E[\(x_B\)]=\(μ_B\)、分散V[\(x_B\)]=\(σ_B^2\)

    2つのデータの和、差したデータを合成

    データA,Bをそれぞれ和、差すると、平均(期待値)と分散はいくらになるか?を考えます。分散の加法性を使えばよいですね。

    ●和A+Bの場合
    ◎平均E[\(x_A+x_B\)]= E[\(x_A\)]+ E[\(x_B\)]=\(μ_A\)+\(μ_B\)
    ◎分散V[\(x_A+x_B\)]= V[\(x_A\)]+ V[\(x_B\)]+2Cov(\(x_A\),\(x_B\))
    (Covは共分散)
    となります。公式どおりですね。

    ●差A-Bの場合
    ◎平均E[\(x_A-x_B\)]= E[\(x_A\)]- E[\(x_B\)]=\(μ_A\)-\(μ_B\)
    ◎分散V[\(x_A-x_B\)]= V[\(x_A\)]+V[\(x_B\)]-2Cov(\(x_A\),\(x_B\))
    (Covは共分散)
    となります。公式どおりですね。
    差の場合の分散はV[\(x_A\)]V[\(x_B\)]ではなく、V[\(x_A\)]+V[\(x_B\)]に注意が必要ですね。

    ●一般には定数a,bを使って以下のように表現できます。
    ◎平均E[\(ax_A±bx_B\)]= aE[\(x_A\)]±b E[\(x_B\)]=\(aμ_A\)±\(bμ_B\)
    ◎分散V[\(ax_A+bx_B\)]= \(a^2\)V[\(x_A\)]+\(b^2\) V[\(x_B\)]±2\(ab\)Cov(\(x_A\),\(x_B\))
    (Covは共分散)
    公式どおりですね。

    ●以下、共分散Covは無視して考えます。

    まとめると、
    ◎平均E[\(x_A±x_B\)]= E[\(x_A\)]±E[\(x_B\)]=\(μ_A\)±\(μ_B\)
    ◎分散V[\(x_A+x_B\)]=V[\(x_A\)]+V[\(x_B\)]

    データを合成すると、
    ●平均(期待値)はそのまま加減する
    ●分散はデータの加減によらず加算

    これがどう管理図に影響するか、考えてみましょう。

    ②分散の加法性と検出力のバランスに注意

    分散の加法性で注意すべきこと

    分散の加法性により、管理限界3σと管理図係数表の値がズレることに注意

    管理限界

    ●上図では、合成する前のデータは、管理限界3σと管理図係数表は一致するように管理図係数表の値は作られています。
    しかし、管理図係数表の値は、サンプル数nに変化する値となっているため、データの合成による分散の加法性は加味されません。

    もともと管理図に載せるデータは、合成データではなく、1つのデータを管理することを想定しています。

    まとめると、

    分散の加法性により、管理限界3σと管理図係数表の値がズレることに注意
    ●管理図係数表を使う、計量値の管理図は注意
    ●管理図係数表を使わず、σで管理限界を評価する計数値の管理図は特に問題ない
    となります。

    検出力の影響

    データを合成すると、管理限界3σの方が、管理図係数表の値より大きくなるため、管理限界に入る確率が低下します。逆をいえば、管理限界を超える確率が増えます。

    管理限界と検出力

    図のように、管理限界を超える部分が増えると赤色部がデータの一部しかかからないことがわかります。つまり、検出力が低下することがわかります。

    ③計量値の管理図の注意点

    ●計量値の管理図は、X管理図、R管理図、s管理図があります。それぞれ、管理限界は管理図係数表で決まっていますね。

    管理図係数表の値の導出方法は、関連記事にあります。ご確認ください。

    【重要】管理図(計量値)の変数の導出がわかる
    シューハートの管理図の計量値の各係数表の求め方を解説します。A,B,D,d2とかいっぱい変数がありますが、すべて期待値±倍数×標準偏差で表記できます。シューハートの管理図をマスターしたい方は必見です。

    ここで、重要なのは、

    X管理図、R管理図、s管理図はそれぞれ正規分布、順序統計量、χ2乗分布を仮定。
    計数値はサンプル数n(自由度)の変数で導出されている。管理限界は3σに対応する値としているが、データの合成後のσ’までは考えられていない。

    つまり、データ合成前のデータだけ、管理図係数表の値が使えるわけです。

    データ合成後のσ’を使って計量値の管理図を使いたい場合

    データの合成後のσ’をベースに
    平均±3σ’を管理限界とする管理図を
    自分で定義して管理図を作ればよいです。

    JIS規格から離れて、自作の管理図になりますが、特に問題はありません。

    管理したい対象と、異常の定義は管理図を管理する人が決めればよいです。JIS規格を活用することもできますが、JISどおりやる義務はありません。

    ④計数値の管理図の注意点は無い

    二項分布、ポアソン分布の管理図の管理限界は標準偏差を使う

    計数値においては、二項分布、ポアソン分布を仮定した管理図を作成します。

    ●二項分布
    (i)pn管理図 平均μ=pn,標準偏差σ=\(\sqrt{np(1-p)}\)より
    管理限界 pn±3\(\sqrt{np(1-p)}\)=μ±3σ
    (ii)p管理図 平均μ=p,標準偏差σ=\(\sqrt{\frac{p(1-p)}{n}}\)より
    管理限界 p±3\(\sqrt{\frac{p(1-p)}{n}}\)=μ±3σ
    と平均±3σで管理限界が定義されている。

    ●二項分布の期待値Eと分散Vはそれぞれ、
    E=np
    V=np(1-p)
    ですね。

    ●ポアソン分布
    (i)c管理図 平均μ=c,標準偏差σ=cより
    管理限界 c±3\(\sqrt{c}\)=μ±3σ
    (ii)u管理図 平均μ=u,標準偏差σ=\(\sqrt{\frac{u}{n}}\)より
    管理限界 u±3\(\sqrt{\frac{u}{n}}\)=μ±3σ
    と平均±3σで管理限界が定義されている。

    ●ポアソンの期待値Eと分散Vはそれぞれ、
    E=c
    V=c
    ですね。ポアソン分布の確率密度関数は難しい式ですが、期待値と分散が同じとシンプルになるのが特徴的です。

    計数値の管理図の管理限界はデータ合成も活用できる

    ●計量値の場合は、管理限界を決める係数は、管理図係数表から決まっています。しかし、サンプル数nだけ変化する値なので、データの合成には対応していません。

    ●一方、計数値の場合は、管理限界は自分のデータの標準偏差σで決めるので、データ合成した場合は、データ合成後の標準偏差σを使えばよいです。

    まとめると、

    計量値の場合は、管理限界はJISの管理図係数表で決めるので、データ合成した場合は、
    管理図係数表の値ではなく、データ合成後の標準偏差σ’を使って管理限界を平均±3σ’と自分で定義する。
    計数値の場合は、管理限界は自分のデータの標準偏差σで決めるので、データ合成した場合は、データ合成後の標準偏差σ’を使えばよい

    データの状態や特徴によって、管理図や管理限界の作り方をよく考える必要があります。

    まとめ

    2つのデータを管理図にするときの注意点について解説しました。

    • ①2つのデータの平均(期待値)と分散
    • ②分散の加法性と検出力のバランスに注意
    • ③計量値の管理図の注意点
    • ④計数値の管理図の注意点は無い

  • 管理図は「使えない、役に立たない、使い道がない」と思ったら読むべき記事

    管理図は「使えない、役に立たない、使い道がない」と思ったら読むべき記事

    管理図は「使えない、役に立たない、使い道がない」、などと困っていませんか?

    こういう期待に答えます。

    本記事のテーマ

    管理図は「使えない、役に立たない、使い道がない」と思ったら読むべき記事

    管理図を描くのは簡単ですが、
    管理図は役に立たないと思う人も多いでしょう。

    管理図の特性と注意点を解説します。

    管理図は「使えない、役に立たない、使い道がない」と思う理由

    次の4つがあると考えます。

    1. 管理図のメリットが感じないから
    2. 管理限界外があっても原因がわからないから
    3. 異常があっても管理図ではわからない場合があるから
    4. 管理図の評価と検査結果が一致しないから

    それぞれの理由の背景と対策を解説します。

    • ①管理図はそもそも必要なのか?
    • ②管理限界外があっても原因がわからない
    • ③異常があっても管理図ではわからない場合がある
    • ④管理図の評価と検査結果が一致しない
    教科書やサイトの内容をそのまま暗記せず、自分で考えてみよう。疑問がわけば、新発見につながる!

    記事の信頼性

    記事を書いている私は、管理図の係数表、群内変動・群間変動の解き方に疑問が残りました。そこで、管理図の理論を研究しました。その成果をブログで解説します。

    ●Youtube動画でも解説しています。ご確認ください。

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    ①管理図はそもそも必要なのか?

    管理図の御利益を簡単に考えると、3つあります。

    1. 管理図を描くと、工程異常がはっきりわかる
    2. 長期間にわたりグラフ化すると、どこで異常が出たか?出やすいかがわかる
    3. 異常時の処置方法や処置対応したかどうかチェックしやすい

    毎日、同じモノを製造、購買しても、いろいろ変化します。
    ●そのモノの品質特性のばらつき
    ●担当者、機械、測定のばらつき
    ●天変地異、季節などの外的環境の変化

    ●いつ、どこで、どんな異常が生じたか、
    ●いつも違う傾向がみられる
    ●偏った傾向が出始める

    などを長期間、可視化できるツールを共有しておけば、異常時の処置、異常が起こるパターンなどがわかり、現場は冷静に判断できます。

    管理図の管理初期は、管理図の価値があまり無いと感じやすいでしょうが、異常・事故・不適合に遭遇した場合、後から振り返るときに工程管理の観点から役立つツールになります。

    ②管理限界外があっても原因がわからない

    これは、2つケースが考えられます。

    1. 原因特定する風土が社内に無い
    2. 管理図の描き方が良くない

    原因特定する風土が社内に無い

    管理図から異常があるのは明らかであるが、原因を特定しようとしないから、原因がわからない!場合です。

    管理図ツールより、社内の問題です。

    原因を特定しようと動かない理由

    1. 責任と権限が不明確
    2. 異常処置する風土が無い

    上の2つを解決すれば、異常処置を社内で対処する動きが生まれます。ただし、これは2つやることがあります。

    ①仕組みで解決
    ②モチベーションアップ

    責任と権限を明確に与える

    異常処置の担当者、責任者を明確化し、彼らに権限を与えることです。
    処置をしなければならない強制力と、処置方法は彼らに任せる自由度を社内のトップが決めて、サポートすることが必要です。

    トップの指示で担当者・責任者を任命し、社内規定・ルールにどの部門のどの役職者をアサインするかを明確化します。

    まず、社内の仕組みができました。しかし、これだけでは、「やらされ感」満載なので、社員自ら異常処置する動機付けが必要です。

    異常処置する風土を作る

    やりたくないことをやりたくなるようにするにはどうすればよいか?を考えましょう

    ①上が自ら動く
    ②下の良い動きを褒める
    ③良い事例を展開して競争させる

    ●まず、異常処置を対処するトップの姿勢がないと、誰も動きません。
    ●次に、やりたくないことなので、「褒める、評価する、成績に反映する」ことが大事ですね。
    ●そうすれば、社員のモチベーションアップにつながり、少しずつですが、異常処置への行動が加速されます。

    単に管理図で異常が出ているからと言って、簡単に動けるものではない

    管理図の描き方が良くない

    ●2つ問題があります。

    1. データのまとめ方が良くない可能性
    2. 層別の仕方が良くない可能性

    データのまとめ方が良くない可能性

    データのまとめ方が良くない可能性があります。縦軸、横軸の設定、全データのうち、どのデータをサンプリングして管理図に載せたのか?などをチェックしましょう。管理図の設計が妥当なのか?を担当者間で確認が必要です。

    層別の仕方が良くない可能性

    層別の仕方が良くない可能性があります。工程、工場、機械、人、日など層別する変数はいろいろありますが、どの変数で層別するかによって、管理限界線(LCL,UCL)の位置が変化するため、管理図の正常・異常の結果は変わります。いくつか管理図を作って、ターゲットとなる工程異常がわかりやすい変数で層別した方が良いでしょう。

    管理図の設計や、調べたい目的を満たす管理図を選ぶことが大切

    ③異常があっても管理図ではわからない場合がある

    管理図は異常があるのに、点が限界外へ飛び出さない場合がある

    異常があるのに、管理限界外に飛び出さない理由は2つあります。

    1. 第2種の誤りが数%あるので仕方がない
    2. 管理図の管理限界幅が広い

    第2種の誤り

    これが、第2種の誤りですね。関連記事にも解説しています。

    【必読】管理図の第1種の誤りと第2種の誤り(検出力)がわかる
    管理図において、第1種の誤り、第2種の誤り、検出力の関係について説明できますか?本記事では、管理図から、第1種の誤り、第2種の誤り、検出力を求める方法を詳細に解説します。管理図をマスターしたい方は必見です。

    管理図から異常が出ない場合は、他から異常が発見されることになります。第2種の誤りが確率として数%はあるため、仕方がないとして対処しましょう。

    管理図の管理限界幅が広い

    管理限界幅が広いと、異常となりにくいですね。各管理図の管理限界を決める変数は、群内のサンプル数nで変化するため、どのnがベストかを関係者で協議した方がよいでしょう。

    なお、変数については関連記事をご覧ください。

    【重要】管理図(計量値)の変数の導出がわかる
    シューハートの管理図の計量値の各係数表の求め方を解説します。A,B,D,d2とかいっぱい変数がありますが、すべて期待値±倍数×標準偏差で表記できます。シューハートの管理図をマスターしたい方は必見です。

    管理図は異常があるのに、点が限界外へ飛び出さない場合があるため、管理図以外で気づいた異常を処置しつつ、正常と判断した管理図との関係を確認しておく必要があります。

    ④管理図の評価と検査結果が一致しない

    よく、混同しますが、

    管理図の評価と検査結果は別物です。
    ●管理図は工程管理を調べるもので、品質検査の合否には使わない
    ●検査結果、出荷合否判定するもので、検査基準で合否を決めるべき

    工程が標準通りであれば、不良品が出ても、現場の責任でありません。製造、材料、設計、機械など他の原因を調べるべきです。

    製品合格率が低下する原因の1つには、管理図からわかる工程管理の不備がありますが、管理図で検査結果はわかりません。

    管理図はわかりやすいので、万能に思いたいですが、管理図の用途やできることをしっかり理解して使いましょう。

    本記事の結論

    まとめます。

    • ①管理図はそもそも必要なのか?
      ⇒管理図のメリットを理解する
    • ②管理限界外があっても原因がわからない
      ⇒異常処置するよう社内の活性化と管理図の設計が重要
    • ③異常があっても管理図ではわからない場合がある
      ⇒第2種の誤りを考慮しつつ、管理図の設計を見直す
    • ④管理図の評価と検査結果が一致しない
      ⇒管理図と品質検査は別物

    まとめ

    管理図は「使えない、役に立たない、使い道がない」と思ったら読むべき内容を解説しました。

    • ①管理図はそもそも必要なのか?
    • ②管理限界外があっても原因がわからない
    • ③異常があっても管理図ではわからない場合がある
    • ④管理図の評価と検査結果が一致しない

  • 管理図で「工程が管理状態である」がわかる

    管理図で「工程が管理状態である」がわかる

    「工程が管理状態であるはどんな状態なのかがわからない」、などと困っていませんか?

    こういう期待に答えます。

    本記事のテーマ

    管理図で「工程が管理状態である」が理解できる
    管理図から群内変動\(σ_w^2\)と群間変動\(σ_b^2\)を使って
    ●\(σ^2\)=\(σ_w^2\)+\(σ_b^2\)
    と、分割できるが、
    (A) \(σ_b^2\)=0となる場合は、どんな場合か?
    (B) \(σ_w^2\)=0となる場合は、どんな場合か?
    (C) \(σ^2\)=0となる場合は、どんな場合か?
    を解説します!
    • ①管理図における群内変動と群間変動
    • ②群間変動\(σ_b^2\)=0の場合(工程が管理状態)
    • ③群内変動\(σ_w^2\)=0の場合
    • ④全分散\(σ^2\)=0の場合
    教科書やサイトの内容をそのまま暗記せず、自分で考えてみよう。疑問がわけば、新発見につながる!

    記事の信頼性

    記事を書いている私は、管理図の係数表、群内変動・群間変動の解き方に疑問が残りました。そこで、管理図の理論を研究しました。その成果をブログで解説します。

    ●Youtube動画でも解説しています。ご確認ください。

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    ①管理図における群内変動と群間変動

    管理図では、データを
    ●群単位で小分けし、群間データを管理
    ●群内のデータを管理
    の2つが必要です。

    管理図から群内変動\(σ_w^2\)と群間変動\(σ_b^2\)を使って
    ●\(σ^2\)=\(σ_w^2\)+\(σ_b^2\)
    と、分割できる

    上の式の導出は、関連記事に詳しく解説しています。

    【必読】管理図の分散σ(x)とσ(xbar)の違いがわかる(群内変動と群間変動)
    管理図において、群内変動と群間変動の分散の導出方法がわかりますか? 本記事では、Xbarの分散公式とXの分散公式の違いや、公式の導出方法を平方和、実験計画法を活用して導出します。単なる公式の丸暗記に頼らず自力導出できることが重要です。

    分散のポイント

    ①データの構造式
    ●\(x_{ij}-\bar{\bar{x}}\)=(\(x_{ij}-\bar{x_{i・}}\))+(\(\bar{x_{i・}}-\bar{\bar{x}}\))
    と分割すると、
    ②平方和の分解
    ●\(\sum_{i=1}^{a} \sum_{j=1}^{b}(x_{ij}-\bar{\bar{x}})^2\)
    =\(\sum_{i=1}^{a} \sum_{j=1}^{b} (x_{ij}-\bar{x_{i・}})^2\)
    +\(\sum_{i=1}^{a} \sum_{j=1}^{b} (\bar{x_{i・}}-\bar{\bar{x}})^2\)
    が成り立つ。
    ③分散の分解
    それぞれ両辺をabで割ると、
    ●\(σ^2\)=\(σ_w^2\)+\(σ_b^2\)
    が成り立つ。

    \(σ^2\)=\(σ_w^2\)+\(σ_b^2\)の式を使って考えていきます。

    ②群間変動\(σ_b^2\)=0の場合(工程が管理状態)

    群間変動\(σ_b^2\)=0の場合はよく、
    工程が管理状態であるとか、
    統計的管理状態とか、
    言います。

    群間変動\(σ_b^2\)=0になるデータとは、どんなデータか?

    ちょっと考えてみましょう。

    ●群間のずれが無いデータを考える
    ●\(\sum_{i} \sum_{j} (\bar{x_{i・}}-\bar{\bar{x}})^2\)≡\(σ_b^2\)ですから、
     2乗和=0なら、すべてのiについて\(\bar{x_{i・}}-\bar{\bar{x}}\)=0ですね。
    つまり、\(\bar{x_{i・}}\)=\(\bar{\bar{x}}\)となるデータですね。

    イメージ付きましたか?

    群間変動\(σ_b^2\)=0になるデータ例

    例えば、次のようなデータが挙げられます。

    群間/群内 1 2 3 4 \(\bar{x_i}\) \(\bar{\bar{x}}\) R
    1 3 2 5 4 3.5 3.5 3
    2 3 5 2 4 3.5 3.5 3
    3 4 4 4 2 3.5 3.5 2
    4 3 2 5 4 3.5 3.5 3
    5 6 2 5 1 3.5 3.5 5
    6 3 2 5 4 3.5 3.5 3

    縦方向が群間、横方向が群内です。
    横方向はデータがばらついても、合計値はどの群でも同じ14となる場合です。

    確かに、黄色枠のように
    \(\bar{x_i}\)と\(\bar{\bar{x}}\)の値が3.5で一致しますが、
    範囲Rは群ごとに異なる値となっています。

    群間変動\(σ_b^2\)=0になる場合を管理図で確認

    \(\bar{X}\)管理図とR管理図を描きます。

    Xbar-R管理図

    \(\bar{X}\)管理図は各群の値が一定であるが、
    R管理図は各群でばらつきがある

    群間変動\(σ_b^2\)=0の場合は、
    工程が管理状態であるとか、
    統計的管理状態とか、
    言いますが、
    実際、管理図で描くとイメージがわきますね。

    実際は、\(\bar{X}\)管理図は各群の値が一定にはなりませんから、若干のばらつきがある程度まで、ばらつきを抑えることが管理状態であるというのでしょう。

    ③群内変動\(σ_w^2\)=0の場合

    群内変動\(σ_w^2\)=0になるデータとは、どんなデータか?

    ちょっと考えてみましょう。

    ●群内のずれが無いデータを考える
    ●\(\sum_{i} \sum_{j} (x_{ij}-\bar{x_{i・}})^2\)≡\(σ_w^2\)ですから、
     2乗和=0なら、すべてのjについて\((x_{ij}-\bar{x_{i・}})\)=0ですね。
    つまり、\(x_{ij}\)=\(\bar{x_{i・}}\)となるデータですね。

    イメージ付きましたか?

    群内変動\(σ_w^2\)=0になるデータ例

    例えば、次のようなデータが挙げられます。

    群間/群内 1 2 3 4 \(\bar{x_i}\) \(\bar{\bar{x}}\) R
    1 3 3 3 3 3 3 0
    2 4 4 4 4 4 3 0
    3 5 5 5 5 5 2.75 0
    4 2 2 2 2 2 2 0
    5 3 3 3 3 3 2 0
    6 1 1 1 1 1 1 0

    縦方向が群間、横方向が群内です。
    縦方向はデータがばらついても、横の値はすべて同じとなる場合です。

    各群の範囲Rの値が0となっています。

    群内変動\(σ_w^2\)=0になる場合を管理図で確認

    \(\bar{X}\)管理図とR管理図を描きます。

    Xbar-R管理図

    \(\bar{X}\)管理図は各群で値がばらつくが、
    R管理図は各群で0である

    群内変動\(σ_w^2\)=0の場合は、
    実際、管理図で描くとイメージがわきますね。

    群内変動が無いのは理想状態ですが、考えることは大事ですね。

    ④全分散\(σ^2\)=0の場合

    ●\(σ^2\)=\(σ_w^2\)+\(σ_b^2\)=0
    で各項は0以上ですから、
    ●\(σ^2\)=0
    ●\(σ_w^2\)=0
    ●\(σ_b^2\)=0
    ですね。

    全分散\(σ^2\)=0になるデータとは、どんなデータか?

    群間変動\(σ_b^2\)も、群内変動\(σ_w^2\)も0の場合ですね

    端的に言えば、
    全部同じ値になります。

    全分散\(σ^2\)=0になるデータ例

    例えば、次のようなデータが挙げられます。

    群間/群内 1 2 3 4 \(\bar{x_i}\) \(\bar{\bar{x}}\) R
    1 3 3 3 3 3 3 0
    2 3 3 3 3 3 3 0
    3 3 3 3 3 3 3 0
    4 3 3 3 3 3 3 0
    5 3 3 3 3 3 3 0
    6 3 3 3 3 3 3 0

    全分散\(σ^2\)=0になる場合を管理図で確認

    \(\bar{X}\)管理図とR管理図を描きます。

    Xbar-R管理図

    \(\bar{X}\)管理図も、R管理図は一定値である。

    全分散が無いのは理想状態ですが、考えることは大事ですね。

    管理状態になるとは、管理図でどうなるのかについて解説しました。

    まとめ

    管理図で「工程が管理状態である」状態を、実データを見ながら解説しました。

    • ①管理図における群内変動と群間変動
    • ②群間変動\(σ_b^2\)=0の場合(工程が管理状態)
    • ③群内変動\(σ_w^2\)=0の場合
    • ④全分散\(σ^2\)=0の場合

  • u管理図の欠点数の差の検定ができる

    u管理図の欠点数の差の検定ができる

    「u管理図の欠点数の差を検定せよと聞かれたけど、どうやって解くかわからない」、などと困っていませんか?

    こういう期待に答えます。

    本記事のテーマ

    u管理図の欠点数の差の検定ができる
    ポアソン分布の正規分布近似を使った検定統計量を使って解説します。
    • ①不良率の差の検定事例
    • ②正規分布を使った検定統計量で不良率の差の検定を解く
    教科書やサイトの内容をそのまま暗記せず、自分で考えてみよう。疑問がわけば、新発見につながる!

    記事の信頼性

    記事を書いている私は、QC検定®1級合格しましたが、管理図の係数表、群内変動・群間変動の解き方に疑問が残りました。そこで、管理図の理論を研究しました。その成果をブログで解説します。

    ●検定と推定に自信がない場合は関連記事で演習しましょう。何度も解けば身に付きます。

    計数値データの検定と推定の演習問題【QC検定®2級対策】
    QC検定®2級で必ず出題される計数値に関する検定と推定の演習問題とその解法を解説します。検定から推定区間まで5分以内に解けるための流れとテクニックについて解説します。QC検定®2級合格したい方は必見です。さっと解けるか?チェックしてください。

    ●You tube動画でも解説しています。ご確認ください。

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    ●商標使用について、
    ①QC検定®と品質管理検定®は、一般財団法人日本規格協会の登録商標です。
    ➁このコンテンツは、一般財団法人日本規格協会の承認や推奨、その他の検討を受けたものではありません。
    ➂QCプラネッツは、QC検定®と品質管理検定®の商標使用許可を受けています。

    ①不良率の差の検定事例

    事例問題

    次の問いを考えます。管理図から検定・推定につなぐ重要な応用問題としてとらえてください。QC検定®1級、QC検定®2級で出題されてもよい良問です。

    演習問題

    20群に小分けされた金属板の傷の数を数えた。2つの機械A,Bからそれぞれ金属板を製造したので、傷の数が機械によって異なるかを確認したい。
    (1) A、B合わせた全体のu管理図を描け。
    (2) 傷の数が機械によって異なるかを、有意水準5%で検定せよ。
    No 機械 サンプル
    の大きさ
    傷の数 単位当たり
    の傷の数
    1 A 10 12 1.2
    2 A 10 8 0.8
    3 A 10 10 1
    4 A 10 6 0.6
    5 A 10 9 0.9
    6 A 14 15 1.07
    7 A 14 12 0.86
    8 A 14 10 0.71
    9 A 14 13 0.93
    10 A 14 8 0.57
    11 B 20 33 1.65
    12 B 20 25 1.25
    13 B 24 17 0.71
    14 B 24 20 0.83
    15 B 24 28 1.17
    16 B 24 20 0.83
    17 B 24 36 1.5
    18 B 30 45 1.5
    19 B 30 20 0.67
    20 B 30 30 1
    合計 370 377

    一度は、実際に演習してくださいね。良問ですよ!

    u管理図を作成

    あまり見かけない管理図ですが、作れ!と言われてもあわてないようにしっかりおさえましょう。

    必要な値を計算します。
    ●全体平均\(\bar{u}\)=377/370=1.02
    ●LCL=\(\bar{u}\)-3\(\sqrt{\frac{\bar{u}}{n_i}}\)
    ●UCL=\(\bar{u}\)+3\(\sqrt{\frac{\bar{u}}{n_i}}\)
    ここで、分母の\(n_i\)は群のサンプルの大きさなので、各群によってLCL、UCLの値が変化します。

    ●LCL,UCLの値を表にまとめます。

    No 機械 サンプル
    の大きさ
    傷の数 単位当たり
    の不良数
    平均 LCL UCL
    1 A 10 12 1.2 1.019 0.061 1.977
    2 A 10 8 0.8 1.019 0.061 1.977
    3 A 10 10 1 1.019 0.061 1.977
    4 A 10 6 0.6 1.019 0.061 1.977
    5 A 10 9 0.9 1.019 0.061 1.977
    6 A 14 15 1.07 1.019 0.21 1.828
    7 A 14 12 0.86 1.019 0.21 1.828
    8 A 14 10 0.71 1.019 0.21 1.828
    9 A 14 13 0.93 1.019 0.21 1.828
    10 A 14 8 0.57 1.019 0.21 1.828
    11 B 20 33 1.65 1.019 0.342 1.696
    12 B 20 25 1.25 1.019 0.342 1.696
    13 B 24 17 0.71 1.019 0.401 1.637
    14 B 24 20 0.83 1.019 0.401 1.637
    15 B 24 28 1.17 1.019 0.401 1.637
    16 B 24 20 0.83 1.019 0.401 1.637
    17 B 24 36 1.5 1.019 0.401 1.637
    18 B 30 45 1.5 1.019 0.466 1.572
    19 B 30 20 0.67 1.019 0.466 1.572
    20 B 30 30 1 1.019 0.466 1.572
    合計 370 377 1.019

    u管理図を作成します。

    u管理図

    なお、A,Bの違いがわかるようにu管理図を分けてみます。

    u管理図

    差がありそうですよね!

    AとBの違いを検定しましょう。

    正規分布を使った検定統計量で不良率の差の検定を解く

    検定統計量

    単位当たりの個数は、本来ポアソン分布ですが、正規分布近似して解く方法で検定します。

    教科書に絶対ある式なので、使いこなせてください。

    検定統計量
    u=\(\frac{λ_A-λ_B}{λ(\frac{1}{n_A}+\frac{1}{n_B})}\)

    代入しましょう。各値は、
    ●\(λ_A\)=(群A:傷の数の総和\(T_A\))/(群Aの総和\(n_A\))
    =103/120=0.858
    ●\(λ_B\)=(群B:傷の数の総和\(T_B\))/(群Bの総和\(n_B\))
    =274/250=1.096
    ●λ=\(\frac{T_A+T_B}{n_A+n_B}\)
    =\(\frac{103+274}{120+250}\)
    =1.019

    よって、検定統計量uは
    u=\(\frac{λ_A-λ_B}{λ(\frac{1}{n_A}+\frac{1}{n_B})}\)
    =\(\frac{0.858-1.096}{1.019×(\frac{1}{120}+\frac{1}{250})}\)
    =-2.12

    u=|-2.12|=2.12 < 1.96=u(0.05)より
    AとBの不良率に差があると言えるとなります。

    u管理図と、欠点数の差の検定をまとめた応用事例を解説しました。

    まとめ

    u管理図の欠点数の差を検定する方法を解説しました。

    • ①不良率の差の検定事例
    • ②正規分布を使った検定統計量で不良率の差の検定を解く

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