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【簡単】2水準の直交表のつくり方【必見】

実験計画法

「直交表はどうやってできているの?」 「直交表の各列はどうやって作られているの?」 「直交表からの平方和の計算は何となくできるけど、意味がよくわからない」など、直交表がよくわかっていないまま、計算していませんか?

こういう疑問に答えます。

本記事のテーマ

2水準で直交表の基礎を確実に理解する

直交表のベースとなる3つの重要ポイント【絶対知っといて!】

  • ➀データの構造式と因子の組み合わせから直交表の列が決まる
  • ②直交表の全列の平方和の総和が全体の平方和
  • ③直交表の各列の水準の求め方

「直交表は実験回数を減らす便利な表」という、イメージがついていますが、最初にこの考え方を捨ててください。

次の3つが直交表を完璧に理解するために必要です。全10本程度の記事を使って、直交表を解説します。教科書には書いていない、QCプラネッツだけ知っている直交表をお伝えします。

  • 直交表は単にデータの構造式の項をすべて並べたもの
  • 交絡させるから実験回数が減らせる
  • データの構造式から直交表を理解する

●関連記事で、実験計画法のすべてがわかるページ

●教科書には書いていない、研究してわかった直交表の特性を次の関連記事で紹介します。直交表ってこういうものなのか!が理解できます。10本以上の記事がありますが、すべて必見です。













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さっそく見ていきましょう。

➀データの構造式と因子の組み合わせから直交表の列が決まる

2水準の直交表の\(L_{16} (2^{15})\)を作ります。

➀因子を用意
②因子の総組み合わせを書き出す
③データの構造式を作る
④直交表を作る

➀因子を用意

2水準で実験回数が16回ですから、 4因子(A,B,C,D)を用意します。逆に、因子数が決まっていたら、実験回数は因子数の水準数乗となります。つまり、 2の4乗で16回です。5因子3水準なら5の3乗で125回と全パターンを実験しますね。

②因子の総組み合わせを書き出す

因子A,B,C,Dの全パターンを書き出しましょう。機械的に書き出します。

●因子が0個:1種類→ μ(平均)
●因子が1つ:4種類→ A,B,C,D
●因子が2つ:6種類→ AB,AC,AD,BC,BD,CD
●因子が3つ:4種類→ ABC,ABD,ACD,BCD
●因子が4つ:1種類→ ABCD (誤差eと交絡)
計 1+4+6+4+1=16種類作れますね。

なお、1+4+6+4+1=16を二項定理の式に書く事ができます。
\( {}_4 C_0+{}_4 C_1+{}_4 C_2+{}_4 C_3+{}_4 C_4\)
=1+4+6+4+1
=16

③データの構造式を作る

16種類の項をデータの構造式にまとめます。
ここで、直交表が突然できたわけではなく、データの構造式から作られたことを理解しましょう。重要です。

x=μ+α+β+γ+δ+(αβ)+(βγ)+(γδ)
+(αβγ)+(αβδ)+(αγδ)+(βγδ)
+e

④直交表を作る

データの構造式から直交表の各列を作ります。下図のように列を並び替えます。並び替えなくても、別に構いませんが、直交表を使いやすく配列すれば良いです。

直交表

4因子2水準を事例に挙げて、直交表の配列方法を解説しました。他の因子、他の水準でも同様にできます。ただし、まだ2水準限定としましょう。3水準以上になると交互作用が複数列出てきます。これは次の関連記事で解説しています。



②直交表の全列の平方和の総和が全体の平方和

直交表の便利な点は、列の平方和が簡単に計算できることです。
そのためには、直交表の全列の平方和の総和が全体の平方和であることが前提です。

直交表の全列の平方和の総和が全体の平方和かどうか実際に確かめてみましょう。

2水準の四元配置実験

図のように2水準の因子A,B,C,Dを用意して16回実験します。これは完全配置実験ですね。

C1 C2
D1 D2 D1 D2
A1 B1 10 12 11 14
B2 13 12 17 18
A2 B1 10 9 14 16
B2 14 9 18 20

分散分析の結果は次のようになります。さらっと、書いていますが結構計算は面倒です。でもとてもいい演習問題なので、下の問を是非解いてみてください。

S φ V F
A 0.5625 1 0.5625 1
B 39.0625 1 39.0625 69.444
C 95.0625 1 95.0625 169
D 0.5625 1 0.5625 1
A×B 0.0625 1 0.0625 0.111
A×C 10.5625 1 10.5625 18.778
A×D 3.0625 1 3.0625 5.444
B×C 7.5625 1 7.5625 13.444
B×D 5.0625 1 5.0625 9
C×D 10.5625 1 10.5625 18.778
A×B×C 0.5625 1 0.5625 1
A×B×D 0.0625 1 0.0625 0.111
A×C×D 3.0625 1 3.0625 5.444
B×C×D 1.5625 1 1.5625 2.778
e(A×B×C×D) 0.5625 1 0.5625
T 177.9375 15
問: 2水準の因子A,B,C,Dからなる四元配置実験の分散分析を計算せよ。
(詳細は次のYou Tubeをご覧下さい。前編と後編の2つご覧ください。)

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2水準の四元配置実験を直交表L16 (2^15)で解く

次に、直交表を使って分散分析しましょう。直交表L16 (2^15)と各データを割り付けます。

成分
1 A
2 B
3 A×B
4 C
5 A×C
6 B×C
7 A×B×C
8 D
9 A×D
10 B×D
11 A×B×D
12 C×D
13 A×C×D
14 B×C×D
15 e(A×B×C×D)

直交表の各成分の水準数に合わせてデータを入れていきます。
例えば、A1B1C1D1のデータは10です。

C1 C2
D1 D2 D1 D2
A1 B1 10 12 11 14
B2 13 12 17 18
A2 B1 10 9 14 16
B2 14 9 18 20

黄色枠のA1B1C1D1は直交表では、次の行に割当てます。

A B C D データ
1 1 1 1 1 10
16 2 2 2 2 20

これを16回繰返します。各データを直交表に割当てる方法がわかりました。

次に、直交表から平方和を求める公式があります。

$$ S_{[k]} = \frac{(T_{[k]1}-T_{[k]2})^2}{N} $$

S[k]はk列目の平方和、Nは総データ数、T[k]1はk列目の水準1の合計、T[k]2はk列目の水準2の合計です。

この式を使って計算すると、1列目の平方和S[1]は
\(S_{[1]} = \frac{(T_{[1]1}-T_{[1]2})^2}{16} \)
=0.5625
となります。

同様に15列分計算しましょう。エクセルで計算した方が早いです。結果は下の表です。

成分 水準1の和 水準2の和 合計 平方和
1 A 107 110 217 0.5625
2 B 96 121 217 39.0625
3 A×B 108 109 217 0.0625
4 C 89 128 217 95.0625
5 A×C 115 102 217 10.5625
6 B×C 114 103 217 7.5625
7 A×B×C 110 107 217 0.5625
8 D 107 110 217 0.5625
9 A×D 105 112 217 3.0625
10 B×D 104 113 217 5.0625
11 A×B×D 108 109 217 0.0625
12 C×D 115 102 217 10.5625
13 A×C×D 105 112 217 3.0625
14 B×C×D 106 111 217 1.5625
15 e(A×B×C×D) 110 107 217 0.5625

分散分析すると、下図のようになり、四元配置実験の結果と一致します

S φ V F
A 0.5625 1 0.5625 1
B 39.0625 1 39.0625 69.444
C 95.0625 1 95.0625 169
D 0.5625 1 0.5625 1
A×B 0.0625 1 0.0625 0.111
A×C 10.5625 1 10.5625 18.778
A×D 3.0625 1 3.0625 5.444
B×C 7.5625 1 7.5625 13.444
B×D 5.0625 1 5.0625 9
C×D 10.5625 1 10.5625 18.778
A×B×C 0.5625 1 0.5625 1
A×B×D 0.0625 1 0.0625 0.111
A×C×D 3.0625 1 3.0625 5.444
B×C×D 1.5625 1 1.5625 2.778
e(A×B×C×D) 0.5625 1 0.5625
T 177.9375 15

直交表の全列の平方和の総和が全体の平方和になる理由

実例のように、直交表の全列の平方和の総和が全体の平方和になりました。その理由を解説します。

(i)データの構造式から平方和の分解ができる。
(ii)分解された平方和が直交表の各列の平方和になる

(i)データの構造式から平方和の分解ができる。

4因子のデータの構造式を書きます。

x=μ+α+β+γ+δ+(αβ)+(βγ)+ (γδ)
+(αβγ)+(αβδ)+(αγδ)+(βγδ)
+e

平方和の分解のところで詳細に導出を解説しますが、本記事では概要を解説します。上の式を変形して、それぞれの平方和に分解できます。

ST=SA+SB+SC+SD
+S(A×B)+S(A×C)+S(A×D)
+S(B×C)+S(B×D)+S(C×D)
+S(A×B×C) +S(A×B×D) +S(A×C×D) +S(B×C×D)
+Se

上の式のように、平方和が分解できます。
それぞれに分割された平方和が直交表の各列の平方和になります。

直交表はデータの構造式から理解するとすべてわかる。

多元配置実験と直交表実験の分散分析が等しい理由について,
You tubeで解説しています(後編)

③直交表の各列の水準の求め方

【簡単】たった3つの方法で作れる

(i)直交表の水準の表記を0,1,2,…に変える。
(ii)交互作用列の水準は、構成因子の水準の和を水準の数で割った余りとする。
(iii) 直交表の水準の表記を1,2,3,…に戻す。

例として、直交表L16 (2^15)で解説します。

●直交表の水準数の表記方法はYou Tubeでも解説しています。(前編)

(i)直交表の水準の表記を0,1,2,…に変える。

水準の数から1引いてください。それだけです。

直交表

(ii)交互作用列の水準は、構成因子の水準の和を水準の数で割った余りとする。

交互作用A×Bの水準は、
因子Aの水準がa
因子Bの水準がb
とします。

(i)で水準の数を1引きますから、
因子Aの水準はa-1
因子Bの水準はb-1
です。

交互作用列の水準は、構成因子の水準の和を水準の数で割った余りとします。

交互作用A×Bの水準は、
Mod((a-1)+(b-1),2)となります。

具体的に、a=2,b=1とします。
Mod((a-1)+(b-1),2)=Mod((2-1)+(1-1),2)=Mod(1,2)
Mod(1,2)は1を2で割った余りなので1となり、交互作用A×Bの水準の数は1となります。

これを全交互作用列に対して計算しましょう。エクセルで簡単に計算できます。

直交表

(iii) 直交表の水準の表記を1,2,3,…に戻す。

(ii)の計算した水準の数は0からスタートしているので、すべて1を足してください。これで直交表の各行列の水準の数が求まりました。

交互作用の表記を×としますが、実際は水準の数を足して、水準系の数で割った余りを意味します。

この方法ですべての水準系の直交表の各行列の水準の数が自力で求めることができます。

直交表

●直交表の水準数の表記方法はYou Tubeでも解説しています。3水準系も必見!(後編)

まとめ

2水準の直交表とデータの構造式を使って、直交表のエッセンスを解説しました。

  • ➀データの構造式と因子の組み合わせから直交表の列が決まる
  • ②直交表の全列の平方和の総和が全体の平方和
  • ③直交表の各列の水準の求め方

●関連記事で、実験計画法のすべてがわかるページ

●教科書には書いていない、研究してわかった直交表の特性を次の関連記事で紹介します。
直交表ってこういうものなのか!が理解できます。10本以上の記事がありますが、すべて必見です。














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